介護保険制度と所得再分配の仕組み
日本の介護保険制度は、高齢者が尊厳を持って自立した生活を送れるよう支援する重要な社会保障制度です。制度の持続可能性を確保するため、65歳以上の第1号被保険者の保険料は所得に応じた13段階の負担区分が設けられています。
高所得者層（標準段階9～13）からの保険料は、制度全体の財政基盤を強化し、低所得者への支援を可能にする重要な役割を果たしています。保険料は各市町村が定める基準額に所得段階ごとの負担割合を乗じて決定され、所得が高いほど負担割合も高くなる累進的な仕組みとなっています。
自治体による所得区分と保険料の例
自治体によって所得区分や保険料額は異なりますが、いずれも所得に応じた負担となるよう設計されています。例えば、渋谷区では第13段階（合計所得1,500万円以上2,500万円未満）の保険料は年額200,300円で、基準額の2.80倍に相当します。
制度の持続可能性と公平性
介護保険制度の財源は保険料収入と公費がほぼ半分ずつを占める二重構造となっており、高所得者からの保険料収入は低所得者への軽減措置を財政的に支えています。高齢化が進行し介護ニーズが増大する中、制度の長期的な安定には標準段階9～13からの安定した保険料収入が不可欠です。
今後も社会経済状況の変化を踏まえながら、すべての高齢者が安心して介護サービスを利用できる社会の実現に向け、保険料構造や所得再分配の仕組みについて継続的な検討が必要です。