内臓脂肪と皮下脂肪の違いを徹底解説!健康リスクから効果的な減らし方まで

 

 

はじめに:体脂肪の重要性と種類

体脂肪といえば「減らすべきもの」というイメージがありますが、実は体脂肪はエネルギー貯蔵、断熱、ホルモン調節など、様々な身体機能に不可欠な役割を果たしています。ただし、全ての脂肪が同じではありません。

特に「内臓脂肪」と「皮下脂肪」は、蓄積場所、生理学的機能、そして健康への影響が大きく異なります。両者の違いを理解することで、効果的な健康管理が可能になります。

この記事では、内臓脂肪と皮下脂肪の違いを詳しく解説し、それぞれの特徴、健康リスク、そして効果的な減らし方についてご紹介します。

内臓脂肪と皮下脂肪の定義と特徴

内臓脂肪(ないぞうしぼう)とは

内臓脂肪は、腹腔内の深い場所に位置し、胃、腸、肝臓、腎臓などの内臓を取り囲む脂肪組織です。腹筋の後ろに位置するため、指でつまむことはできません。

その代謝活性の高さから「活動的な脂肪」とも呼ばれ、様々な健康問題と関連していることから「危険な脂肪」とも呼ばれています。

内臓脂肪面積が130 cm²を超えると内臓肥満と定義され、体重やBMIに関わらず、いくつかの慢性疾患の主要なリスク因子となります。

皮下脂肪(ひかしぼう)とは

皮下脂肪は、皮膚のすぐ下、真皮の最も深い層である皮下組織に位置する脂肪です。これは指でつまむことができる脂肪であり、体の表面に広く分布しています。

脂肪細胞が結合組織で区切られた小葉に集まって構成されており、ほとんどの人にとって、皮下脂肪は体脂肪の約90%を占めています

内臓脂肪 皮下脂肪
位置 腹腔内の深部、内臓の周囲 皮膚のすぐ下
触診 つまむことができない つまむことができる
体内の割合 体脂肪の約10% 体脂肪の約90%
特徴 代謝活性が高い 断熱効果が高い
減少の容易さ 比較的減らしやすい 減らしにくい

体内での蓄積場所の違い

内臓脂肪と皮下脂肪の蓄積場所

図1: 内臓脂肪(黄色)と皮下脂肪(水色)の蓄積場所

内臓脂肪の蓄積場所

内臓脂肪は主に腹腔内に蓄積し、以下の器官を取り囲んでいます:

  • 肝臓
  • 膵臓
  • 腎臓

また、腸の周囲の膜や、場合によっては心臓の周囲にも蓄積することがあります。内臓脂肪が主要な臓器に近接していることは、代謝の健康に大きな影響を与える理由の一つです。

皮下脂肪の蓄積場所

皮下脂肪は、皮膚のすぐ下であれば体のどこにでも存在します。特に以下の部位に多く蓄積します:

  • 臀部(お尻)
  • 太もも
  • 腹部
  • 上腕
  • 背中

皮下脂肪の広範な分布は、断熱と物理的な保護という多様な機能を反映しています。腰や太ももへの蓄積は、体型を特徴づける要因となり、「洋ナシ型」体型として知られています。

体型による脂肪蓄積の違い

  • リンゴ型体型:腹部に脂肪が集中し、内臓脂肪が多い傾向
  • 洋ナシ型体型:臀部や太ももに脂肪が集中し、皮下脂肪が多い傾向

生理学的な役割の違い

内臓脂肪の役割

正常なレベルの内臓脂肪は、重要な生理学的機能を果たしています:

  1. 内臓の保護:内臓を物理的に保護する役割があります。
  2. 内分泌機能:内分泌器官として機能し、さまざまな身体プロセスに影響を与えるホルモンや生理活性分子を分泌します:
    • レプチン(食欲調節)
    • アディポネクチン(インスリン感受性の向上)
    • レジスチン(インスリン抵抗性の増加)
    • TNF-α(炎症促進)
    • IL-6(炎症促進)
  3. エネルギー貯蔵:エネルギーを貯蔵し、必要に応じて放出します。
  4. 代謝調節:グルコースおよび脂質代謝、インスリン感受性、炎症反応に影響を与えます。

皮下脂肪の役割

皮下脂肪も多くの重要な機能を担っています:

  1. エネルギー貯蔵:主な役割は、脂質の形でエネルギーを貯蔵することです。
  2. 断熱効果:寒さや熱からの断熱を提供します。
  3. 物理的保護:筋肉や骨をクッションのように保護し、衝撃や転倒から守ります。
  4. 体温調節:体温を適切に保つのを助けます。
  5. 構造的サポート:真皮を筋肉や骨に付着させ、皮膚と筋肉の間の神経や血管の通路としても機能します。
  6. 内分泌機能:レプチンやレジスチンなどのホルモンを分泌します。レプチンの分泌は、内臓脂肪よりも皮下脂肪の方が大きいとされています。内臓脂肪と皮下脂肪の生理学的役割の比較グラフ

過剰な蓄積による健康リスクの比較

内臓脂肪の過剰蓄積によるリスク

過剰な内臓脂肪は、多くの深刻な健康問題の原因となります:

代謝性疾患

  • メタボリックシンドローム
  • 2型糖尿病
  • インスリン抵抗性

心血管疾患

  • 高血圧
  • 心臓発作
  • 脳卒中
  • 脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症)

炎症性疾患

  • クローン病
  • 強直性脊椎炎
  • 慢性炎症

特定の癌

  • 結腸癌
  • 乳癌
  • 前立腺癌

内臓脂肪細胞は、炎症を促進し、インスリン感受性を低下させる可能性のあるサイトカインやその他の化学物質を分泌します。特にIL-6の分泌量が多いことが特徴です。これらの炎症性物質の慢性的な放出が、上記の健康問題につながると考えられています。

皮下脂肪の過剰蓄積によるリスク

皮下脂肪は健康に不可欠ですが、過剰な体脂肪(皮下脂肪を含む)は、以下のような健康問題につながる可能性があります:

  • 心臓病
  • 糖尿病
  • 脳卒中
  • 特定の癌
  • 脂肪肝疾患
  • 胆嚢疾患
  • 腎臓病
  • 変形性関節症
  • 睡眠時無呼吸症候群

過剰な皮下脂肪は、より直接的なリスクをもたらす過剰な内臓脂肪の兆候である可能性があります。ただし、内臓脂肪ほど直接的に代謝性疾患と関連していないことが多く、むしろ全体的な肥満に関連する問題として現れます。

興味深いことに、一部の研究では、皮下脂肪の拡大がインスリン感受性を改善し、2型糖尿病のリスクを低下させる可能性を示唆する証拠もあります。

それぞれの脂肪の測定方法

内臓脂肪の測定方法

内臓脂肪を測定するには、以下のような方法があります:

  1. ウエスト周囲径:内臓脂肪の簡単で良い指標です。女性では80cm以上、男性では94cm以上でリスクが高まります。
  2. ウエストヒップ比:ウエストサイズをヒップサイズで割ったものです。女性で0.85以上、男性で0.90以上の比率は、腹部肥満を示し、内臓脂肪が多いことを示唆しています。
  3. ウエスト身長比:ウエストサイズを身長で割ったものです。健康的な比率は0.5以下です。
  4. 体格指数(BMI):BMIが30以上の場合、内臓脂肪レベルが高い可能性がありますが、BMIは体脂肪の一般的な尺度であり、内臓脂肪を直接測定するものではありません。
  5. 高度な画像診断(CTおよびMRI):内臓脂肪面積を直接測定する最も正確な方法ですが、日常的な評価には使用されません。

皮下脂肪の測定方法

皮下脂肪を測定するには、以下のような方法があります:

  1. 皮下脂肪厚計:全身の脂肪量を大まかに推定するために使用できます。
  2. 視覚的評価:皮下脂肪は目に見え、つまむことができる脂肪なので、視覚的および触覚的に一般的な評価を行うことができます。
  3. 体脂肪率測定器:生体インピーダンス法などを用いた体脂肪率測定器は、主に皮下脂肪を評価します。
  4. 高度な画像診断(CTおよびMRI):皮下脂肪を区別して測定することができます。

比較的速い判断方法:鏡を見る

鏡の前に立って腹部を見たとき、お腹が全体的に大きく、しかも硬い場合は内臓脂肪の可能性が高いです。一方、つまむことができる柔らかい脂肪は皮下脂肪です。

効果的な減らし方

内臓脂肪を減らす方法

内臓脂肪は、健康的な生活習慣の改善により比較的減らしやすいと言われています:

食事の改善

  • 果物、野菜、全粒穀物、赤身のタンパク質を豊富に含む、未加工食品を中心に摂取する
  • 砂糖入り飲料、菓子類、精製された砂糖や高果糖コーンシロップを含む食品の摂取を制限する
  • 高脂肪食品や炭水化物(砂糖)の摂取を減らす
  • アルコール摂取を避けるか減らす
  • 間欠的断食を検討する

運動

  • ほとんどの日に少なくとも30分間の定期的な身体活動を行う
  • 有酸素運動(ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳)は、内臓脂肪を減らすのに特に効果的
  • 筋力トレーニングで筋肉量を増やし、代謝を高める

生活習慣の改善

  • 十分な質の高い睡眠(少なくとも7時間)をとる
  • ヨガや瞑想などのテクニックを通じてストレスレベルを管理する

皮下脂肪を減らす方法

皮下脂肪を減らす方法は、内臓脂肪を減らす方法と多くの点で類似していますが、一般的に減らすのに時間がかかると言われています:

食事の改善

  • 健康的な食事に焦点を当て、カロリー不足(消費カロリーが摂取カロリーよりも多い状態)を作り出す
  • 一部の炭水化物をタンパク質に置き換える
  • 脂肪分の多い食品、加工食品、砂糖を多く含む食品の摂取を制限する

運動

  • 定期的な有酸素運動でカロリーを燃焼させる
  • 筋力トレーニングで除脂肪体重を増やし、代謝を高める
  • エクササイズの頻度と強度を徐々に増やす

生活習慣の改善

  • ストレスを管理し、十分な睡眠をとる
  • 水分を十分に摂取する
  • 長期的な視点を持ち、継続的な生活習慣の変化を優先する

内臓脂肪と皮下脂肪の主な違いまとめ

特性 内臓脂肪 皮下脂肪
定義と場所 腹部の内臓の周りに蓄えられ、深い腹腔内に位置する 皮膚のすぐ下に蓄えられ、体の表面全体に分布する
触診 つまむことができない つまむことができる
健康リスク 代謝性疾患(糖尿病、心臓病など)と強く関連 主に全体的な肥満に関連するリスクと関連
代謝活性 より活性が高く、より多くの炎症性アディポカインを放出 活性が低く、レプチン分泌が多い
脂肪分解 より脂肪分解性が高い 脂肪分解性が低い
インスリン感受性 インスリンの抗脂肪分解効果に対する感受性が低い インスリンの抗脂肪分解効果に対する感受性が高い
減少の容易さ 一般的に減らしやすい 一般的に減らしにくい
体型との関連 「リンゴ型」体型に関連 「洋ナシ型」体型に関連

動画

まとめ

内臓脂肪の特徴

  • 腹腔内の深部に位置し、内臓を取り囲む
  • つまむことができず、腹部が全体的に硬く膨らむ
  • 代謝活性が高く、様々な炎症性物質を分泌
  • 「リンゴ型」体型と関連することが多い
  • メタボリックシンドロームやその他の代謝性疾患と強く関連
  • 比較的減らしやすい

皮下脂肪の特徴

  • 皮膚のすぐ下に位置し、体の表面全体に分布
  • 指でつまむことができる
  • 代謝活性は比較的低い
  • 「洋ナシ型」体型と関連することが多い
  • 内臓脂肪ほど直接的な健康リスクはないが、過剰な場合は問題
  • 減らすのに時間がかかる

効果的な対策

  • 内臓脂肪加工食品や砂糖の摂取を制限し、野菜・タンパク質を増やす
  • 皮下脂肪カロリー不足(消費 > 摂取)を作り出す食事管理
  • 内臓脂肪毎日30分以上の有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)
  • 皮下脂肪有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせ
  • 内臓脂肪質の高い睡眠(7時間以上)とストレス管理
  • 皮下脂肪十分な水分摂取と長期的な生活習慣の改善
💡

内臓脂肪と皮下脂肪はどちらも健康に大切な役割を果たしていますが、過剰になると問題を引き起こします。バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠が両方の脂肪を健全に保つ鍵です。

 

参考資料:file:///Users/shionoyuki/Downloads/fat-comparison-overview.svg

https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/kk/sosyaku/manual/Kimura.pdf

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/torikumi/pdf/uruo018-.pdf