介護予防支援の拡大
地域包括支援センター業務の再編
2024年4月施行
改正の背景
近年、日本の高齢化が進む中、地域包括支援センター(以下、包括)の業務負担が増大しています。特に以下の課題が顕著になっています:
- 地域住民のニーズが複雑化・多様化
- 福祉系等の人員不足が深刻化
- 配置基準以上の人員確保が困難
こうした状況を受け、2023年の介護保険法改正では、包括の業務負担軽減と効率化を目指した再編が行われました。
改正のポイント
1. 介護予防支援の指定事業者に居宅介護支援事業者を追加
従来の仕組み:
- 介護予防支援の事業者指定の対象は包括のみ
- 居宅介護支援事業者は包括と連携しながら業務委託を受ける形式
改正後:
- 居宅介護支援事業者も介護予防支援の指定事業者として直接指定が可能に
- 居宅介護支援事業者は利用者と直接契約を結べるようになる
- 必要な場合は包括に助言を求めることが可能(介護保険法第115条の30の2第2項)
市町村の役割拡大:
- 介護予防サービス計画(予防プラン)の検証も市町村の業務に
- 市町村は予防プランの検証に際し、指定事業者に「予防プランの実施状況」などの情報提供を求めることが可能に
2. 総合相談支援の一部を居宅介護支援事業者等に委託
総合相談支援事業とは:
- 地域の高齢者等に関わる様々な相談を受け、適切な制度や支援につなげる事業
- 厚労省の調査でも包括が「負担と感じる業務」のトップに
改正により:
- 総合相談支援事業の一部を居宅介護支援事業者へ委託可能に
- 相談受付の窓口として居宅介護支援事業者等が機能することで、包括の負担軽減を図る
業務委託の実施方法
委託には以下の2つのパターンがあります:
- 市町村から委託を受けた包括(委託型)が委託を行う場合:
- 委託内容について、市町村直轄の運営協議会に意見を求める
- 委託された事業者は、市町村が示す包括的支援事業の実施方針に従って業務を実施
- 市町村直営の包括が委託を行う場合:
- 運営協議会から意見を聴取
- 総合相談支援事業の実施方針を示し、委託された事業者はその方針に従う
職員配置の柔軟化
人員不足に対応するため、以下の職員配置の柔軟化も図られています:
- 現行:地域の高齢者数に応じて圏域を設定し、包括を設置してそれぞれに3職種を配置
- 主任ケアマネジャー
- 保健師(または看護師)
- 社会福祉士
- 改正後:複数の圏域を1つのエリアとして扱い、包括同士の情報共有や相互支援により、地域実情に応じた人員配置が可能に
- ICTの活用による相互支援
- 地域によっては2職種配置も可能に
- 課題の多い地域には増員支援
改正に伴う市町村の条例改正期間
この改正に伴う市町村の条例改正については、2025年3月末までの猶予期間が設けられています。
用語解説
地域包括支援センター: 高齢者を中心とした地域住民の支援において重要な役割を担う施設。介護・福祉・健康・医療など様々な面から総合的に支援します。
介護予防支援: 要支援者を対象とした介護予防サービス計画(予防プラン)の作成や、サービス事業者との連絡調整などを行うサービス。
居宅介護支援事業者: 要介護者のケアプラン作成や、介護サービス事業者との連絡調整を行う事業者。
総合相談支援: 高齢者やその家族からの様々な相談に対応し、適切な機関につなぐなどの支援を行うサービス。
運営協議会: 地域包括支援センターの適切な運営や、公正・中立性の確保などについて協議する機関。
ICT: Information and Communication Technologyの略。情報通信技術を指し、デジタル技術を活用した情報共有や業務効率化に貢献します。
動画